オクタ ヴィネル 寮。 #8 オクタヴィネル寮の元寮長はダイオウイカである ⑧

『ディズニー ツイステ』寮章を再現したネックレスが登場

オクタ ヴィネル 寮

今日は久しぶりの寮長会議に出席する日だ。 大体は集まってもなぁなぁに終わってしまうものだからやる意味あるのか疑問だ。 しかし、今日は一味ちがう。 今回は僕を含めた寮長は全員寮服を着ている。 何故ならハーツラビュルで新たに寮長が誕生したから。 その顔合わせといったところだ。 しかも新しく寮長になった子は1年生。 僕と同じ境遇の子!もうそれだけで親近感が湧くというもの!! 楽しみだな、やっぱ初めてだと苦労することが多いし…頼れる寮長であらねば!! 僕の寮服はワイシャツにサスペンダー、そしてパナマハットといった少しキッチリしたものになっている。 白のネクタイに寮のロゴのチェーン付きタイリングをつけて、通常の寮服は完成だ。 ただし、ワイシャツは寮をイメージしたためか紫色だ。 さすがに僕には似合わないと思って、僕だけ黒色のワイシャツにしてもらっている。 そして、ほかの寮生と見分けが付けられるよう僕だけ白のコートを羽織っている。 シンプルイズベストだ。 まぁ、僕が着ると大きいのか着られてる感があるのが難点だけど…。 そして寮長と見栄を貼りたいためにマジカルペンをダンディなおじ様が使うようなかっこいい杖に変えて完成だ! いやロッドステッキはロマンだよね!! シンプルだし、人魚の多いこの寮だと制服と似通ったものの方が着やすいんだよね。 しかもタイリングだから制服より結びやすいし 自寮の子達も苦戦することなく着ることができているのでこの服と相性は良いみたい。 …………足長くて顔が良い子ばっかりだから余計に似合ってるのが癪だけど。 僕の時も寮長になった時は他の寮長達と顔合わせ的な事をした。 今回も同じかな あの時は本当にビクビクしてしまった。 他の寮長達の視線が怖いわ、学園長だけがテンション高いわで生きてる心地がしなかった。 しかも終わったら終わったですぐ皆んな帰るんだから挨拶もままならない。 あの時もう既に寮長同士仲良くする気はないと言われた気がして寂しかった… 今回の1年生君だってもしかしたら寂しいと思うかもしれない!! 大丈夫!僕が!いるよ!! 「いえ、馴れ合いは結構です」 新しい寮長はNOと言える子でした。 [newpage] 僕は今寮服のまま学校のトイレに居ます。 蓋した便器の上で体育座りしながら今日の事を思い出し、悲しみに暮れていた。 新しい寮長の名前はリドル・ローズハート君。 僕よりも小さく、お目目がくりくりした可愛らしいといった印象を持った。 しかし凛々しく眉を吊り上げキリリと前を見据えるその姿は厳格で、寮長になるのも頷けるほど、かっこよかった。 僕とは違う、ちゃんと意思を持って寮長になったんだとわかってしまう。 ちゃんと責任感がある…僕とは大違いだ…でも!初めての寮長ならわからないことだって多いだろうし、役に立ちたい! 彼を支えたいその一心で声をかけるも先ほどの一言で玉砕した。 颯爽と去る彼もかっこよかった。 泣 仲良くなれると思ったのに! 中々涙はひっこまない。 目を擦ると折角した化粧も落ちるし腫れてしまうからハンカチで押さえながら涙が枯れるのを待つ。 ……でもそうだよね。 僕みたいなちゃらんぽらんでなっちゃった寮長よりは頼れる人は多いだろう。 僕みたいに弱い人じゃないなら安心かな 自分に言い聞かせて納得させる。 終わってしまったことだ。 切り替えねば。 それに僕にはアーシェングロット君という可愛い後輩だっている。 それでも仲良くなりたかったなぁ… ため息を一つついたのち、トイレを出た。 寮に帰ったら目を冷やそう。 目が赤くなってるなんて、寮長として間抜けだ。 寮に帰る途中、鏡の前で何やら話し声が聞こえた。 やだなぁ、泣いた顔見られちゃう…。 立ち去るのを待つために隠れて覗くと、その声の主はハーツラビュルの生徒たちだった。 2人いる。 「なんで寮長が一年なんだ! しかも偉そうに色々言ってきやがって…」 「決闘で勝ったからと言って調子に乗りすぎてんだよな…あんなチビ、魔法さえ無ければただのガキなのに…!!」 「前の寮長の方が融通きいてたのに、ハートの女王の法律がどうとか細かすぎ。 」 それはリドル君に対しての罵倒だった。 まあ、リドル君が寮長になって面白くない輩は出てくると思っていた。 僕の時だって不本意な結果だったとはいえアンチは必ず出てくる。 誰かが聞いてそうな場所であからさまに悪口を言う彼らに気分が悪くなった。 その暴言を吐いていた人たちの前に鏡からまた新たに人がやってくる。 緑の髪でメガネをした男性と前髪をポンパドールにしたオレンジの髪の男性だ。 どちらも先程の寮生と同じハーツラビュルの生徒だった。 さらに僕は動けなくなってしまった。 「お前ら、また言ってたのか?」 「そうだよ!新しい寮長でもちゃんとしてるんだからいいじゃん?」 今きた2人はどうやらリドル君を支持しているみたいだ。 しかし、それでも暴言を吐く人達は止まらない。 「そうは言うけど、ただ厳しいだけだろ? 面倒くさいし、なにより罰則と言ってユニーク魔法使うのも納得できない!」 「罰を下すのは寮長の役目だろう? 今までが緩すぎたんだよ」 「お前はいいよな?幼馴染だからって副寮長にしてもらったからな!」 「ダイヤモンドだって目をかけてもらってんだろ?いいなぁ、どうやって取り入った?」 リドル君の話から2人への罵倒にシフトチェンジされている。 てか4人に増えたせいでさらにオクタヴィネルに続く鏡が塞がれてしまう。 なんでここでやるかなぁ…。 それに、めちゃくちゃ胸糞悪い。 全く…アーシェングロット君を見習って欲しい…!あの子はなんの見返りも期待せずこんな僕に尽くしてくれてるんだよ? あーあ、早く帰りたい。 もう無視して行こう。 目は見られないように帽子で隠そ 仕方ないからわざと靴音を鳴らしてこちらに気づかせる。 1人でも寮の違う人がいるとなればこの言い合いも中断されるし気まずくなるだろう。 なってくれ。 マジで。 パナマハットを傾けて目元を隠す。 「ごめんね、お話し合い中に。 寮に帰りたいから、そこを退いてくれる?」 極めて優しく言う。 口元しか見えないから口はにっこりと笑みを絶やさないようにする。 待っていると、後から来たメガネ君とポンパドール君はすぐに退いてくれた。 優しいね。 しかし、最初に罵倒しか言ってない2人のハーツラビュルの生徒は逆に阻んできた。 え、怖…。 「っおい、退いてやれって!」 「うるせえな!お前も前々から気に食わなかったんだ!」 メガネ君が退かそうと肩を掴むが、それを介せず払い退けた。 なんなの?なんでもかんでも傷つけるナイフのような年代なのぉ?若い人怖いぃ…。 「お前だって、私闘があった時代に寮長になった人間だろ?あの時はなんでも有りだったんだ!どうせ卑怯な手を使ったんだろ!?」 しかも言い返せない内容ダァ…耳が痛い…。 不可抗力とはいえ、確かに腹下させて粗相させたのは申し訳ないと思ってるよ! 言っても仕方ないので誤魔化すように笑って見せるもそのハーツラビュル2人は言葉を重ねる。 「しかも私闘禁止にして…お前の卑怯な手がバレないようにしてんだろ!? 皆んな噂してるぞ!!」 え、それは初耳。 めっちゃアンチいるのは知ってたけどそんな内容で私闘禁止の校則できたと思われてたの?は?辛さマックスピーポーなんだけど。 えええ、とっても心外。 「…私闘禁止の校則は私闘に称したイジメが発生しているんだよ。 それを抑制するためだと、学園長から説明があったと思うけど…」 「そんなんどうとでも言えるだろ!!」 やだ〜!!否定したいだけじゃん面倒くさい〜!!! 帽子の下で目と口をキュッとしてしまう。 もうやだ帰りたいよぉ、アーシェングロット君に会いたいぃ!! 「…もう信じたいことを信じればいいんじゃない?さっきも言ったように僕は寮に帰りたいからそこ退いてもらえる?」 怖すぎて声が震えるも、どうにか最初の目的を話す。 面倒くさいからもう否定するのを諦めた。 もう帰ろう。 それでアーシェングロット君に慰めてもらおう。 そう思ってたら調子に乗ったらしい2人が更に言ってきた。 「ふんっお前もリドルも!卑怯な手しか使わないなら寮長に相応しくないだろ!! お前の金魚の糞だって…どうせ同じように卑怯な手を使ってお前の寮長の座を狙っているのさ!!!」 カンッ!!!! 思わず滑り落とした杖の先が床を鳴らした。 驚いてしまって手を緩めてしまったのに気付いてすぐに持ち直した。 でも今回こいつは聞き逃せない事を言った。 「……ねえ、その言い草は何?」 トレイ視点 そろそろリドルが帰ってくる頃だ。 そう思って鏡を通ったらリドルの悪口を言う奴らがそこにいた。 注意をするが我慢ならないらしい。 俺にも罵倒が来たところで靴音がした。 その音に振り返ればそこにいたのは俺たちと同い年のオクタヴィネルの寮長で、こちらに近づいていた。 目深にかぶった帽子で表情は口元しかわからない。 しかし、笑みを称えている。 寮に帰りたいと言うので俺とケイトはすぐに退くものの罵倒していた2人は退かない。 慌てた俺は退かそうとするも2人はオクタヴィネル寮長に罵倒し始めた。 オクタヴィネル寮長は罵倒された後でも笑みを絶やさない。 だけど罵倒がエスカレートすれば、どんどん口元が不機嫌になっていった。 「…もう信じたいことを信じればいいんじゃない?」 一つため息をついたあと、言い放った言葉。 その声は震えていて怒りが滲んでいる。 呆れてしまったと言うくらい不機嫌な言葉で正に一触即発。 それなのに2人はずっと気づかずに、遂には地雷を踏んだ。 カンッ!!!! 「……ねえ、その言い草は何?」 大きく鳴った杖の音。 ツカツカとこちらに近づくオクタヴィネル寮長は2人に杖を向ける。 その目は怒りにより血走っていた。 「金魚の糞って誰のこと?まさか、アーシェングロット君の事を言ってるわけじゃないだろうね? 彼がそんなことするわけないだろ。 わかってないくせによく回る口だな…!」 オクタヴィネル寮長は指でチャックを閉めるように真一文字に空中で指を引く。 すると、今まで罵倒していた2人はその行動により口を閉められたらしい。 魔法だ。 そして彼は黙った2人に更に近づいた。 「それに、リドル君が卑怯? 彼はきっとそんな事をしないだろ。 今回初めて見たけれど、高学年がいる中で堂々とした形で素晴らしい振る舞いをしたよ。 君たちでは真似できないほど、責任感を持った素晴らしい人間だと判断できるほど!」 2人は騒ぐこともできず、ただオクタヴィネル寮長を見つめている。 俺もケイトも、魔法は使われてないのに一言も話せなかった。 「それに比べてお前らは何? 罵倒しかできないの?そんなに悔しいなら決闘して寮長の座を勝ち取ればいい。 学園長から聞いたけど、ちゃんとリドル君は決闘を行ったよ。 正々堂々とね。 」 オクタヴィネル寮長はもう一度空中で真一文字に指を引く。 2人の口はまた開いたようだ。 「それをしてから不満を言って。 それができないなら黙ってて。 僕だって、僕の言い分が間違ってなかったから校則ができたんだよ。 他に何か言いたいことがあれば是非教えて。 ちゃんと反論するよ。 …何もなければそこを退いて。 3回目だよ。 僕は寮に帰りたいの。 」 流石に何も言えないのか2人も道を開けるため、そこをどいた。 また一つ、ため息をついたオクタヴィネル寮長は颯爽と鏡を潜って行ってしまった。 悪口を言い続けていた2人も居た堪れなくなったのかハーツラビュル寮に続く鏡に入って行った。 俺とケイトだけが残されたこの空間が酷く静かだった。 「……っなにあれ、チョーかっこいい…!」 静寂を真っ先に破ったのはケイトだった。 大きなため息をついたケイトは感嘆を漏らす。 俺も同意見だった。 「ああ、今まで実際に会うことが無かったけど…アレはかっこいいな…。 」 同学年で、しかもリドルと同じ1年生で寮長になった彼は当時から話題だった。 忙しい1年生の時期に寮長になった彼は寮長の仕事も勉学も一切手を抜かず、オクタヴィネルの寮の慈悲の精神に基づく取り組みを行なっていたと聞く。 最初は俺もまさか、そんな完璧な人間なんていないと思っていたが…実物を見ればそれは払拭される。 凄いともてはやされた噂は全て本当だったと思えた。 そんな事を思っていたら後ろから足音が聞こえた。 その人は、俺たちが迎えようとした俺たちの寮長、リドルだった。 しかし、顔は俯き表情が暗い。 「リドル!待っていたぞ…って、なんか暗いな、どうした?」 「え?どうしたの?虐められた??」 ケイトも心配そうに声をかけるが、リドルは俯いていた顔を上げた。 いつもキリッとした瞳は涙で溢れていた。 「っあ、どうしよ、う…オクタヴィネル寮長に…ひどい事言っちゃった…っ!! 今、あ、あんっなに…庇ってくれだのに…どうしよう、失礼な態度を…っ!!!」 もう止められないと言わんばかりにその場でわんわん泣き出してしまった。 いきなり泣き出した事に驚いたが、すぐに鏡から離れてリドルを抱きしめた。 リドルを罵倒してた奴らや他にもリドルを悪く言う奴らに見られたら何を言われるかわからないからな。 「え?え?リドル君さっきの聞いてたの? てか、え?酷いこと?」 ケイトが聞こうにも話にならない。 とりあえずリドルを連れてどこか空き教室に行くことにした。 今はもう下校時間は過ぎてるので誰も来ないはずだ。 「うわあああ…どうしよう、どうしよう! 声かけて、くれたのにぃっ!!」 とりあえず、リドルが泣き止むのを最優先することになる。 [newpage] クラム・ボンゴレ 今回同じ境遇の子が出来たのに仲良くなれなかった…ションボリ。 しかもなんか私闘禁止の校則作った理由が、変な解釈されてたし可愛い後輩貶されたし、マジ萎え。 可愛い後輩バカにされるの地雷です。 アーシェングロット君に慰めてもらいたい。 アズール・アーシェングロット 今回不在 このあと寮長と無駄話というお茶会に招かれる事を知らない。 ケイト・ダイヤモンド 同じ年代で寮長になった子がいると聞いていたけど実物めちゃくちゃかっこいい!!! お近づきになりたい。 トレイ・クローバー 間近でオクタヴィネル寮長見たけど痺れた。 噂だけは知っていたが、過剰な噂ではなかったのかと思い直した。 リドル・ローズハート 「どうしよう!どうしよう!うわああん!」 現在バブバブ泣いてる。 オクタヴィネル寮長の事は噂だけ知っていた。 次回に続…いたら頑張る。

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オクタ ヴィネル 寮

注意点 ・二次創作 ・オリ主 ・捏造設定あり ・キャラ崩壊十分あり得る(二次創作の時点でお察しだよね) ・腐向けのつもりは今のところない 大丈夫ならGO [newpage] オンボロ寮の監督生と、アズールが契約をしたあの最終日。 テティスはというと、四日前から起きたあの『トランス』によって木でとても繊細に作られたグレートセブンの彫刻が先日、作り終えて寝入っていた時だった。 そのため、アズールが契約で大量のイソギンチャクを作ったことも、オンボロ寮を二号店にすべく契約したことも、全く知らなかった。 ドンドンと、やかましくドアがノックされる。 のそのそと、起きながら渋々応対する。 だが、その目はその顔は、いつもにこにこと笑っている表情とは大きく異なり、明らかな不機嫌を指し示していた。 「んだよぉ、おれちゃん寝てたんだけd」 「た、大変です!! テティス先輩!! 寮長が!!!」 寮生の悲鳴に、テティスは先ほどまでの不機嫌さが無くなり目を見開く。 「なに、あーちゃんになにがあった?」 「それが……」 寮生から、話を聞いたテティスは驚愕した。 自分がトランスしていた間に、オンボロ寮の監督生とアズールが取引をしていたこと。 今日がそれの最終日だった中、サバナクローの寮生が急に大勢やってきててんやわんやしていた中で、契約書が全て奪われていたこと。 そして、それを塵に変えられたアズールが、オーバーブロットを起こしそうになっていること。 「んなっ……!!」 テティスは、すぐさま寮服に着替え、マジカルペンを握ると寮の外へと出ていく。 「テメェ、何してんだこの野郎!!!」 オーバーブロットを起こす寸前で、どろどろとした、テティスがユニーク魔法で生みだすそれよりもはるかにおぞましいものをまとわせているブロットがアズールの周りを漂う中、ジェイドとフロイドがテティスに気づく。 「イカちゃん先輩!? 寝てたんじゃねーの!?」 「馬鹿野郎! こんな事態に寝過ごすほどおれちゃん情けねぇ先輩してねぇよ!!」 「ですがちょうどよかった。 テティス先輩、アズールを止めるのを手伝ってください!!」 フロイドの言葉に怒鳴り返すテティスに、ジェイドは援軍を頼む。 テティスは頷くとペンをくるりと回し、アズールを見据える。 その時、アズールもテティスに気づいた。 「先輩……。 僕の、僕の契約書が、全部無くなったんです……」 「んなこたぁ、寮生から聞いたわ!! だからってそれとこれはちげーぞ!!」 いつも、へらへらと笑っているテティスしか知らない周囲は驚いていた。 はっきりと、怒りをあらわにしている。 「だって、このままじゃあ、僕は昔に戻ってしまう! 愚図で鈍間で、何もない僕に……!」 「……おれちゃんはなぁ、んなつまんねぇことさすために寮長譲ってねぇぞ。 あーちゃん」 アズールの言葉に、テティスは深く長いため息をついて呆れた顔でアズールを見た。 それを、どうとらえたのかアズールはぎ、とテティスをにらみつけた。 「貴方に、お前に、わかるものか!! なにもかも、持ち合わせてるお前に!!」 そう叫ぶと、アズールの周りに漂っていたブロットが彼自身を覆いつくす。 そして、姿を変え、怪物を背負い、涙目で、テティスをにらみつけていた。 「はぁー……、馬鹿だねぇ、あーちゃん」 テティスはそれに対し、いつものような笑みでもなく先ほど見せた明らかな怒りでもなく、心底、悲しそうな顔でアズールを見た。 テティスにとってまだよく知らない、オンボロ寮の監督生やグリムや、エースたちが必死に戦い始める中、テティスはペンを構える。 僅かな回数ではあるものの、彼のフル詠唱によるそれに心当たりがあった。 「おい! お前、オーバーブロットにそれは無意味だろうが!!」 「うるせぇ、黙って見てろ」 レオナの言葉に、テティスは舌打ち交じりに返す。 ごぽりごぽりと粘度のある音が響く中、黒い、だがブロットと比べると幾ばくか色味が異なる黒がテティスの中から出ていくように渦巻いていく。 地に伏せろ。 それは、そのインクツボのような頭の中にある黒いブロットが、大きく減らした。 「っしゃ、直感でやったけどうまくいったじゃあん」 ひひひ、とテティスは笑うがいくばくか、いや、かなりの疲労が見える。 「おい、何した。 イカ野郎」 「ひひ、あれだよぉ。 あの怪物はどうも、ブロットを原動力にして動いてやがんだ。 おれちゃんのユニーク魔法は、狙った対象をおれちゃんのイカ墨で『上塗り』するのが正しい性質。 みんなよく、魔法石を汚して魔法使いにくくするって思いこんでっけど」 そう言いながらもテティスは魔法を駆使していく。 あくまでも、ただの『上塗り』である以上、放っておけばそれははげ落ちる。 ならば、とっととこの怪物を仕留めて、アズールをオーバーブロットから解放しなければいけなかった。 「チッ……、かなり厄介なものじゃねぇか」 それを聞いたレオナは舌打ちした。 短時間ではあるが対象の要素を上書きするハーツラビュル寮の副寮長、トレイ・クローバーのユニーク魔法とは異なり、あくまでもテティス自身のイカ墨で上塗りするという限定的な物ではある。 だが、だからこそ厄介なところがあるとレオナは理解した。 魔法名だけでは、ブロットに偽装するだけのイメージしかわかない。 だが、違うのだ。 イカ墨で、上塗りしているのだ。 下にあったものをイカ墨で上塗りし、下にあったものを偽物へと偽装しているのだ。 「おら、お昼寝自堕落ライオン。 おれちゃんのことなんか気にしてねぇでとっとと戦え。 お前がごちゃごちゃしたからあーちゃんがああなったんだろうが。 テメーのケツぐらいテメーでふけ」 「誰がお昼寝自堕落ライオンだ。 この気まぐれクソイカ野郎」 テティスの悪態に、レオナも悪態で返しながらアズールのオーバーブロットを鎮めた。 気を失ったアズールを見て、テティスは深いため息をつく。 「んじゃ、後はふーちゃんたちに任すわ。 おれちゃん、ねみぃからもっぺん寝る」 そう言うとテティスは立ち上がり、ひらひらと手を振って寮へと戻っていく。 フロイドやジェイドが驚く声も、無視して。 ベッドに横になって、一人大きく息を吐いた。 「あー……、つかれた」 そう言いながらも、テティスの頭に浮かぶのは、あの時のアズールの姿だった。 契約書を全て無くし、泣きじゃくる姿。 過去の姿を嫌悪する姿。 そして、自分を『何もかも持ち合わせてる』と言った姿。 「……ほーんと、あーちゃんたら、時々馬鹿になるよねぇ」 そう言うと、彼はひひひ、と短く笑ってから深く、眠った。 彼の、マジカルペンの石は、かなりひどく、汚れていた。 目を覚ましたのは、すっかり日付も変わった深夜だった。 変な時間に寝たせいで変な時間に起きたのだ。 「……腹減っちった」 ぐう、となる腹をさすりながらモストロ・ラウンジで軽く夜食でも作るかと降りたときに、あの人物が見えた。 「あ」 「……」 アズールだった。 オーバーブロットのあとで、疲弊しているだろうになぜ起きているのだろうと驚くテティスをよそに、アズールは驚いた顔でこっちを見ている。 「治まったんだなぁ、あーちゃん」 「……ジェイドと、フロイドから聞きました。 ご迷惑、おかけしました」 アズールの言葉にテティスはべつにいーよー、なんて言いながらアズールの頭をぽんぽんと撫でる。 「あーちゃんさぁ、おれちゃん、腹減っちったんだよね」 「こんな時間に食べるんですか」 「いや、腹減って寝れねぇんだよ。 あーちゃんも食う?」 テティスの誘いに対し、アズールは食べません、と首を横に振る。 その姿が、いつも通りであることにテティスはひひひ、と笑った。 「……なんですか」 「いんにゃ? 戻ったねって思って」 そう言うとはぁ、とアズールはため息をついた。 「あーちゃん」 「なんですか」 「やっぱ、一緒に飯食おうぜ。 一人で飯食うのもアレだからさぁ」 その言葉にアズールは深いため息をつきながら『いりません』と先ほどよりも語気を強めて返すのだった。 [newpage] あとがき 前話でのコメントでめちゃくちゃ納得したんですけれども、このイカちゃん先輩はわりかしアズールに対して特別扱いしてるんですよね でも、イカちゃん先輩本人も、アズールも、そこらへんの奴らよりはまあ気にかけてるかなーって程度の認識です オリ主設定 テティス・アルデュウキクス ダイオウイカの人魚(名前は学名のアナグラム) いつもにこにこと笑っている朗らかなでかい人……に見えるが、実際はフロイド・リーチすら時としてドン引きするレベルの愉快犯。 面白そうなことは例え多少自分に危険があろうとも一切の躊躇なく突っ込んでくる。 外見としては真っ白な髪を長く伸ばしているが感情によって微妙に触手のように揺らめくらしい。 人のことを〇〇ちゃんと呼ぶ。 例:アズールはあーちゃん、フロイドはふーちゃん、ジェイドはじぇーちゃんって感じ。 ちなみにこれマジで全員。 マレウスすらまーちゃん呼びする。 馬鹿にしているとかそういう意図は全くない。 アズールの幼少期を知っている人の一人で、いじめられっ子を追っ払ったことがある。 (テティスとしてはおもしろくねーことしてんじゃねーよーって勢い)べそべそ泣いてるアズールが可愛くてつつきまわした。 馬鹿にしてるとかじゃなくて可愛いなと思ってつついてただけ。 面白いことはとことん楽しむタイプ。 だが逆につまんないと感じたら本当にやらない。 その性格があって留年決めてる。 アズールが一年の時に寮長の座を譲る。 理由は『おれちゃんがぁ、寮長やるよりぃ、あーちゃんがやるほうがぁ、ぜってぇおもしれーからだよぉ?』っていう感じ 喋り方はのんびり間延びした感じ。 これがなおのことアズールの神経を逆なでしてるのだが、本人知らない。 アズールは可愛い子として見ていて、つついてる。 おじたんとは同い年だがばちくそ馬が合わない。 なお、イカ墨ベースなのは変わらないから食べれるし美味しい(テティス談) 魔法石についたならばこれがきっかけでオーバーブロットすることはないけれども、ブロットの危険性をよく知っている人ほど焦るし、肉体的な疲労は来るためその隙をついてぼこぼこにするのがテティスの戦法でもある 逆を言えばイカ墨の準備ができてないと使用できないし、ブロットの知識が浅かったり魔法石の状態に気づかなかったりすると意味がなかったりするし、普通に洗い落とせちゃうから冷静に対処するとそう危険でもない 欠点は対象の魔法石という非常にピンポイントを狙わなければならないこと、そしてイカ墨が必要になるため気軽に連発できないこと。 逆を言えばそれだけ的確に狙える精密さがあるともいえるのだが 部活はかつては部員が多かった美術部 今はテティスしかいない。 なぜなら彼の作品で皆超えられない絶望に筆を折っちゃったから 美術室が二つあるけどうち一つはほぼテティス専用の教室と化してる.

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ツイステ登場キャラクター ハーツラビュル寮 【リドル・ローズハート】Riddle Rosehearts ハーツラビュルの寮長。 ハートの女王の作った 不思議な法律を厳格に守っている。 規則を破った者に「首をはねろ!」等と言い厳しい処罰を下す。 寮生達からはとても恐れられている。 誕生日 8月24日 乙女座 身長 160cm 年齢 17歳(2年生) セリフ お前たち、覚悟はいいね?首をはねろ! 声優 花江夏樹 所属寮 ハーツラビュル 【エース・トラッポラ】Ace Trappola 主人公と同じ新1年生。 要領が良く明るい性格。 しかし少し意地悪なところも。 ハーツラビュル寮1年のデュースとライバル関係でよくケンカをする。 誕生日 9月23日 天秤座 身長 172cm 年齢 16歳(新1年生) セリフ ハートの女王ってクールじゃん! 優しいだけの女王なんて、誰も従わないだろ? 声優 山下誠一郎 所属寮 ハーツラビュル 【デュース・スペード】Deuce Spade 主人公と同じ新1年生。 立派な魔法士になる事を目指し、入学した。 真面目なゆえ要領の悪いところがある。 エースとライバル関係。 誕生日 6月3日 双子座 身長 173cm 年齢 16歳(新1年生) セリフ 今日は『なんでもない日』のパーティーだ。 遅刻したら首をはねられるぞ。 声優 小林千晃 所属寮 ハーツラビュル 【トレイ・クローバー】Trey Clover ハーツラビュル寮の副寮長。 穏やかな性格。 寮生達の保護者的存在。 法律に厳格すぎるリドルのフォロー役にまわる事もある。 誕生日 10月25日 蠍座 身長 181cm 年齢 18歳(3年生) セリフ 悪いがバラを赤く塗るのを手伝ってくれないか? 声優 鈴木崚汰 所属寮 ハーツラビュル 【ケイト・ダイヤモンド】Cater Diamond ハーツラビュル寮の3年生。 空気が読め、コミュニケーション能力が高い。 主人公にも初対面から気さくに話しかけてくる。 モテ、食、流行りに詳しい。 しかし、時に無情になることも……。 高い魔法力を持っているが、努力が嫌いで常に気だるげな態度をとっている。 母国では第二王子という立場。 誰に対しても横柄。 誕生日 7月27日 獅子座 身長 185cm 年齢 20歳(3年生) セリフ 人生は不公平だよなぁ。 お前もそう思うだろ? 声優 梅原裕一郎 所属寮 サバナクロー 【ジャック・ハウル】Jack Howl サバナクロー寮の新1年生。 力を磨くことに余念がない。 他人との馴れ合いを嫌っている。 序列に厳しく、硬派な性格。 誕生日 10月11日 天秤座 身長 192cm 年齢 16歳(新1年生) セリフ 俺は誰ともつるむつもりはねえ。 声優 坂泰斗 所属寮 サバナクロー 【ラギー・ブッチ】Ruggie Bucchi サバナクロー寮の2年生。 後輩にも関わらずレオナの世話をやく面倒見のいい性格。 貧しい環境で育ったため食い意地が張っている。 誕生日 4月18日 牡羊座 身長 171cm 年齢 17歳(新2年生) セリフ この世界は弱肉強食。 食えるときに食わなきゃ、生き残れねえッスよ? 声優 市川蒼 所属寮 サバナクロー オクタヴィネル寮 【アズール・アーシェングロット】Azul Ashengrotto オクタヴィネル寮の寮長。 礼儀正しく紳士的な振る舞いだが、計算高く金にがめつい守銭奴。 学内でカフェ「モストロ・ラウンジ」の経営もしている。 誕生日 2月24日 魚座 身長 176cm 年齢 17歳(2年生) セリフ 私ならあなたを助けてあげられます。 さあ、契約書にサインを。 声優 田丸篤志 所属寮 オクタヴィネル 【ジェイド・リーチ】Jade Leech オクタヴィネル寮の2年生。 副寮長。 フロイド・リーチとは双子の兄弟。 丁寧で物腰の柔らかい振る舞いだが、別の一面も。。。 誕生日 11月5日 蠍座 身長 190cm 年齢 17歳(2年生) セリフ 結んだ契約を果たせなかった、あなたが悪いんですよ? 声優 駒田航 所属寮 オクタヴィネル 【フロイド・リーチ】Floyd Leech オクタヴィネル寮の2年生。 ジェイド・リーチとは双子の兄弟。 ジェイドとは対照的な性格をしており、気分屋でつかみどころがない。 2年生。 富豪の家に生まれ、おおらかで明るく、懐の広い性格。 幼少期から共に育ってきたジャミルを信頼している。 ジャミルの作った料理以外は食べないようにしている。 誕生日 6月25日 蟹座 身長 168cm 年齢 17歳(2年生) セリフ 歌え、踊れ!そしたら悩みなんて忘れちまうだろ? 声優 古田一紀 所属寮 スカラビア 【ジャミル・バイパー】Jamil Viper スカラビア寮の副寮長。 2年生。 ジャミルの家系は先祖代々カリムの一族に仕えている。 幼少期から大雑把なカリムに振り回されている。 料理が得意。 誕生日 9月12日 乙女座 身長 175cm 年齢 17歳(2年生) セリフ いっつも面倒ごとばかり……今に見てろよ!……おっと、聞こえてたか? 声優 二葉要 所属寮 スカラビア ポムフィオーレ寮 【ヴィル・シェーンハイト】Vil Schoenheit ポムフィオーレ寮の寮長。 3年生。 人目をひく美貌の持ち主で、自身も自分が最も美しいと思っている。 美意識が高く、美に対しての努力を怠らない。 誕生日 4月9日 牡羊座 身長 183cm 年齢 18歳(3年生) セリフ 鏡よ鏡、教えておくれ。 このよで一番美しいのは……。 もちろん、アタシよね? 声優 相葉裕樹 所属寮 ポムフィオーレ 【エペル・フェルミエ】Epel Felmier ポムフィオーレ寮に所属する1年生。 儚げな魅力の美少年。 口数が少ないミステリアスな印象。 しかし意外な一面も持っている? 誕生日 5月6日 牡牛座 身長 156cm 年齢 16歳(新1年生) セリフ リンゴは気難しくて、扱いづらくて……まるで… 声優 土屋神葉 所属寮 ポムフィオーレ 【ルーク・ハント】Rook Hunt ポムフィオーレ寮の副寮長。 3年生。 美しいものを愛してやまない性格。 ヴィルとエペルの美しさを高評価している。 何を考えているのか捉えどころの無い人物。 誕生日 12月2日 射手座 身長 177cm 年齢 18歳(3年生) セリフ ああ、君はこの世の何より美しい!私の愛の弓矢から、逃げることができるかな? 声優 糸川耀士郎 所属寮 ポムフィオーレ イグニハイド寮 【イデア・シュラウド】 Idia Shroud イグニハイド寮の3年生。 弟「オルト」とは対照的で、内気で根暗。 引きこもりがちな性格。 しかしオンライン上では違う性格になるらしい。。。 誕生日 12月18日 射手座 身長 183cm 年齢 18歳(3年生) セリフ 僕には暗くて陰気な場所がお似合いだ。 頼むからもう放っておいてくれる? 声優 内山昂輝 所属寮 イグニハイド 【オルト・シュラウド】Ortho Shroud イデア・シュラウドの弟。 兄を慕っていていつも行動を共にしている。 陰気な兄とは違い、明るくて素直で好奇心旺盛。 誕生日 8月14日 獅子座 身長 148cm 年齢? 年生) セリフ 兄さんは、本当はすごい人なんだ。 声優 蒼井翔太 所属寮 イグニハイド ディアソムニア寮 【マレウス・ドラコニア】Malleus Draconia ディアソムニア寮の寮長。 3年生。 妖精族の末裔で、世界屈指の魔法力を持っている。 全生徒から注目される存在。 あまりのオーラから「近寄りがたい」と思う生徒も多い。 誕生日 1月18日 山羊座 身長 202cm 年齢 ?歳(3年生) セリフ おやおや、僕のところにはまた招待状が来なかったようだ。 声優 加藤和樹 所属寮 ディアソムニア 【リリア・ヴァンルージュ】Lilia Vanrouge ディアソムニア寮の3年生。 マレウスのお目付役。 少年のようなルックスだが、長い年月を生きているという噂も。 ミステリアスな人物。 誕生日 1月1日 山羊座 身長 158cm 年齢 ?歳(3年生) セリフ マレウスはどこじゃ?なに、来ておらぬのか?やれやれ、また探しまわらねば…… 声優 緑川光 所属寮 ディアソムニア 【シルバー】Silver ディアソムニア寮の2年生。 騎士のようにマレウスを警護する。 沈着冷静で無口。 しかし時々とても眠そうにしている事もある。 誕生日 5月15日 牡羊座 身長 176cm 年齢 17歳(2年生) セリフ マレウス様、そろそろお遊びが過ぎます。 声優 島﨑信長 所属寮 ディアソムニア 【セベク・ジグボルト】Sebek Zigvolt ディアソムニア寮の新1年生。 尊敬しているマレウスと同じナイトレイブンカレッジに入学できた事を誇らしく思っている。 シルバーとは意見の食い違いからよく喧嘩になる。 誕生日 3月17日 魚座 身長 188cm 年齢 16歳(新1年生) セリフ 人間風情が、偉大なるマレウス・ドラコニア様に近づけるなどと思うな! 声優 石谷春貴 所属寮 ディアソムニア ナイトイレブンカレッジ関係者 【ディア・クロウリー】 Dire Crowley 名門魔法士養成学校・ナイトレイブンカレッジの学園長。 この世界で身寄りが無い主人公に居場所を与えてくれる。 口癖は「私優しいので」 声優:宮本充 【グリム】 Grim 主人公の相棒となる、魔法が使えるモンスター。 ビッグマウスでお調子者。 トラブルメーカー。 声優:杉山紀彰 【デイヴィス・クルーウェル】 Divus Crewel ナイトレイブンカレッジの教師。 魔法薬学等理系科目担当。 ファッションの事になると周りが見えなくなる。 声優:伊東健人 【モーゼス・トレイン】Mozus Trein ナイトレイブンカレッジの教師。 魔法史等文系科目担当。 厳しい性格だが「ルチウス」という名の猫を溺愛している。 声優:小山力也 【アシュトン・バルガス】 Ashton Vargas ナイトレイブンカレッジの教師。 体力育成と飛行術等の体育系科目担当。 熱血漢のナルシスト。 声優:竹内良太 【サム】Sam 学園内の購買部「Mr. Sのミステリーショップ」の店主。 きさくな人柄。 ショップでは生卵から魔法石まで何でも扱う豊富な品揃えが生徒達に評判。

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